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2024
まわりみち
いつもの道。名前もない道。
古びたアスファルトに埃が積もっている。よどんだ川と錆びた手すり。生活の跡にまみれた町が好きではなくて、急ぎ足で歩いていたように思う。長い間。
数年前、感染症の流行で外出が減り、家の周りを散歩するようになった。いつもの道をゆっくり歩く。コンクリートの隙間から生えた草が風に揺れる。色あせた戸が夕日を映す。
ここにあるものはわたしと、同じだ。齢を重ね、やがて朽ちてゆく。けれど今はここにいる。
まわりみちをした。使い古された小路が今は愛おしい。
Included Book
収録フォトブック
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